学校版 カラオケEnglish

英語を話せる楽しさを知ってもらいたい

屋久島町立八幡小学校
山之内 卓也 教諭(外国語・理科専科)

「コミュニケーション能力や主体的に学ぶ力を育む外国語指導の充実には、ICTを上手く使って、個別最適な学びに繋げていくことが鍵だと感じています。」
そう語る山之内先生に、「カラオケEnglish」活用についてお話を伺いました。

ー 「カラオケEnglish」を活用することになったきっかけを教えてください

 コロナ禍以前は、屋久島には非常に多くの外国人観光客にお越しいただいていました。
「英語ができると、きっと島の魅力をもっと伝えられるのになあ」と感じていた頃、ちょうど小学校でのタブレット端末を用いた英語教育が本格スタートしました。
現在本校では週に約1回ALTの先生が派遣され、授業中だけでなく昼休み等も子どもたちと積極的に英語を使って関わるなど相互理解や信頼関係作りにも熱心です。
 そのような中、英語のスピーキングを苦手としたり、 英単語をなかなか身につけられない子どもたちへのフォローの必要性をずっと感じていました。「ICTの教材を積極的に取り入れることにより、楽しみながら外国語の力を身につけさせることができるのではないか」と考えていた時に、スピーキングドリル「カラオケEnglish」に出会ったのです。

ー カラオケEnglishは、どのような教材だと感じられましたか?

 カラオケEnglishは「子どもたちに楽しく英語を学んでもらいたい」という思いで開発されていると感じ、とても嬉しく思いました。子どもたちは、登場するキャラクターや世界観に親しみが湧いたようですね。UNITをクリアするごとにもらえるかわいいスタンプを競って集めることがやる気にどんどん繋がっていくなど、ゲーム感覚で楽しく学習している姿も見られました。子どもたちが「勉強させられている」という感覚ではなく、自発的に英語学習に取り組んでいる様子から、この教材を積極的に活用していくことへの可能性を感じました。

ー 先生は、子どもたち1人1人に寄り添って、指導されているようですね

 カラオケEnglishの魅力のひとつに「便利さ」や「手軽さ」があると思います。タブレットやスマートフォンを開けば、個別最適な学習がいつでもすぐにスタートできます。そして私たち教員も管理ページを見ると、即座に児童の学習状況が把握できます。教員側の負担が少ない分、子どもたち1人1人に寄り添ったサポートができたのではないかと感じています。
 また、カラオケEnglishはゲーム感覚で取り組めるので、子どもたちに「学ぶことは楽しい」と気づいてもらえるのではないかと思います。とはいえ、子どもに任せ過ぎてもなかなか学習習慣の定着には繋がらないので、学習が習慣化するまで、私たち教員がしっかりと声かけなどを行い伴走することが必要なのではと感じます。

ー 具体的に、教材をどのように活用されていますか

 授業の終わりに5分から10分程度、その授業の復習として同じフレーズを何度も練習してもらっています。パターンプラクティスをすることで、授業で扱った文法項目や重要単語の定着を促すことができると考えたためです。授業で扱うUNITについてはALTとも連携しながら進めました。併せて、各家庭に「カラオケEnglishで子どもたちに英語学習をしてもらいましょう」という内容の手紙を配布し、家庭での活用も呼びかけました。冬休みには「聞く・読む・正しく発音する」のセルフラーニングの習慣が家庭でも定着するよう、課題として設定しました。

ー カラオケEnglishのようなICTを活用した学習に、教員がどうやって向き合っていくべきか悩んでいる先生も多いと思います。何かアドバイスはありますか?

 少し話はそれますが、外国語指導者研修授業の中で、ALTが、どのような答えに対しても“that’s OK”「それでいいんだよ。自分の意見をもつことが大切なんだよ。」というニュアンスの声かけをされていました。正しく返答できなかったり、うまく発音ができなくても、まずは英語でコミュニケーションする楽しさを知ること、その雰囲気作りをしていくことが大切だと感じました。それが、英語以外のコミュニケーション能力も高めていくことにもつながると思います。
 カラオケEnglishを使用する際も、「間違ってもOK!とにかく声に出して聞こえた音をマネしてみよう!」など声をかけたり、ゲーム感覚でクリアする楽しさを味わえるよう「自分のペースですこしずつやってみよう!」と促すなど、子どもたちが臆することなくトライする気持ちを持ち続けられるように教員が後押しすることが大切なのではないでしょうか。
今後、「カラオケEnglish週間」を設定して、学校全体でやってみることなども、効果的ではないかと考えています。

ー 八幡小学校の子どもたちと先生方が、目標とされていることはどんなことでしょう

 子どもたちに「英語を話せる楽しさ」を知ってもらった上で、中学校に進学できるような指導を目指していきたいです。また、屋久島はインバウンド需要から英語を使う機会にも恵まれている地域だと思うので今後も子どもたちの英語学習へのモチベーションがうまく結びつくよう「目的をもった言語活動」を意識した取組も行っていきたいです。
そのためにも学校や家庭でできるだけ多くの「英語シャワー」を浴びる環境を作り、学級担任による外国語指導(深い児童理解)と専科職員、ALTがこれまで以上に連携し、適切な役割分担で同じ目標に向かい、家庭との連携も進めていきたいと考えています。