学校版 カラオケEnglish

「真の英語力」を育んでいきたい

学校法人緑丘学園 水戸英宏小学校
教頭 野淵 光雄 氏

「新時代『令和』が輝く時代になる鍵は、次代を担う子どもたちが握っている。宝石の原石である子どもたちを輝かせるには、『子どもファースト』な教育が必要で、なかでも英語は重要です。」
初等教育の実践研究のスペシャリストである野淵先生に、水戸英宏小学校の「真の英語力」を楽しく身につける「カラオケEnglish」の活用についてお話をうかがいました。

小学校低学年でも学べる

ー 水戸英宏小学校では、10年前から英語の学びに力を入れているということですが

 はい、本校では2012年の開校当初より全校児童に英語を学ぶ時間を設けました。2019年からは「英語力向上プロジェクト」を学校教育の柱にし、子どもたちに寄り添いながら、教材や授業カリキュラムを工夫してきました。 

ー 具体的にはどのような取り組みをされてきたのでしょうか

 試行錯誤を繰り返しましたね。我々は「楽しい英語活動」をめざしたのですが、それだけでは技能が伴わない「活動重視の学びなし」になりました。それを解決しようと、読み・書き重視の学習に切り替えたのです。英検や英検Jrに受かる子たちが出てきて成果はあったのですが、今度はレクチャー型の授業になってしまったようです。英語力は上がっているはずなのに、英語を話すのは恥ずかしいという状況は一向に改善されない。全校児童で訪れた「TOKYO GLOBAL GATEWAY」でも、英会話による積極的なコミュニケーションが見られませんでした。すなわち、話す力=真の生きた英語力が身についていないことが新たな課題となりました。 

ー 「どうすれば話せるようになるか」は、大人も日々悩んでいますね

 そうなんです、どうしたら子どもたちが英語を話してコミュニケーションを楽しめるようになるのか。授業時間を増やしたり、All Englishの授業までしないといけないのか…と対策に行き詰まっていたのです。そんな時に「カラオケEnglish」との出会いがありました。録音して学んでいくという斬新なスタイル、子どもたちが好きそうなキャラクターやゲーム要素のある「カラオケEnglish」を体験して、「これからの英語の学びのスタンダードをついに見つけた!」と感じました。 

ー カラオケEnglishを始めて、子どもたちの「聞く・話す」に変化はありましたか

 音読カードをつくって毎日子どもたちが取り組みを記録しているのを聞いて、「子どもたちの発音がまったく前と違う!」「英語を話すことにまったく恥じらいがない!」と、その変化に気がつきました。発話量が圧倒的に増えているので、その分成果も出ています。 

 本校は、カラオケEnglishで学ばせることで、子どもたちの「真の英語力」が向上しました。4年生で英検準2級、6年生で英検2級合格など、二次試験でスピーキングが必要な検定試験の合格実績も確実に伸ばしています。これからは高校受験の「英語スピーキングテスト」も意識しながら、取り組んでいきます。

3年目はスピーチ発表にトライ

授業でも活用

ー 具体的には、どのように活用されたのでしょうか

 「英語は授業時数の確保よりも、毎日話す機会をつくることが大切。」そこで、子どもたちに毎日5分でも話してもらおうと、全学年に1日1UNITの音読を宿題としました。
 「カラオケEnglish」が秀逸なのは、そのカリキュラムの緻密さにあると思います。教科書に沿った学習内容を小分けに構成しなおし、つまずきどころをほぐした、母のようなやさしいカリキュラムになっています。1UNITごとにつまずきを見通し、子どもたちが嫌いにならないように、考えつくされています。学習習慣がついてきたタイミングで、宿題を毎日1人2UNITに増やすようにしました。
 先生たちはたくさん取り組めている子どもたちをほめてあげたり、習い事や家庭の事情で取り組めなかった子どもに休み時間にiPadを貸し出してサポートをしたりと工夫をし、「英宏小学校のEveryday English」を進めています。

ー 新しい学び方に、先生方からはどんな声がありましたか

 英語が苦手な先生でもボタンを押すだけで楽しく授業ができるというのが、今までにない教材ですね。子どもたちにIDを配ったら、その日から学習を開始することができました。教科書対照表があり、授業の内容とカラオケで学ぶ内容を合わせられるのも便利です。最近ではメッセージ機能を使って、先生から子どもたちへの声かけも行われ、子どもたちが楽しみにしているようです。

ー 水戸英宏の子どもたちと先生方が次に目指すのはどんなことでしょうか

 「目標は、英語でプレゼンテーションとディベートですよ。」という行正先生の一言が印象に残っています。本校では、オーストラリアの姉妹校とSDGsの研究などで交流がありますので、いつか外国の子どもたちとプレゼンやディベートができるよう、引き続きカラオケEnglishで「真の英語力」を育てていきたいと思います。

みんなで声を出して学ぶ

学校法人緑丘学園 水戸英宏小学校
教頭 野淵 光雄 氏
 公立小学校教諭の時に、朝日新聞「花まる先生公開授業」で紹介される。ベストセラーとなった「新算数科の授業づくり」は国外でも出版され、その指導法は海外からも注目を集める。APEC国際教育会議などに招聘され、算数の師範授業を実施するなど、初等教育の実践研究のスペシャリストとして活躍中。テレビ番組など多くのメディアを通して提唱する、子ども想いの情熱ある教育は評価が高い。初等教育・算数教育が専門だが、水戸英宏小学校では、現在中心となって英語改革を推進している。